コミュニティ女子meeting! vol.1イベントアーカイブ:川島 史さん(2/4)
コミュニティ女子meeting! vol.1イベントアーカイブその②
2017年7月20日、シェア型複合施設「the C」にて「ミュニティ女子meeting! vol.1 〜コミュニティ作りのしごと〜」が行われました。
参加した皆様に「コミュニティをつくるというのはどんなことなのか」というイメージを持ってもらうことをゴールとして開催した今回のイベント。
前回の市民活動コーディネーター落合祥子さんのレポートにに引き続き、本記事ではBUKATSUDOコミュニケーションマネージャー川島史さんのトーク内容をお伝えいたします。
なるべく全部お伝えします
本記事、「コミュニティ女子meeting! vol.1 イベントアーカイブ」では、全4回に分けて、登壇者のトーク内容をまとめていきます。
お話いただいた内容をほぼ全文掲載いたしますので、「当日参加できなかった!」という方は、ぜひこのアーカイブをご覧になってください。
- その① :落合祥子さん(立川市子ども未来センター市民活動コーディネーター/株式会社studio-L)
- その②:川島史さん(BUKATSUDOコミュニケーションマネージャー/株式会社リビタ)※本記事
- その③: 中川世梨乃さん(LODGEコミュニケーター/ヤフー株式会社)
- その④: 庄司真帆さん (The Fleming House /株式会社WAT)
「コミュニケーションを通して居心地の良い場所をつくる」 BUKATSUDOコミュニケーションマネージャー川島史さん
川島 史(かわしま・ふみ)
BUKATSUDOコミュニケーションマネージャー/株式会社リビタ
1985年福岡生まれ。学生時代、慶應義塾大学環境情報部加藤文俊研究室所属。フィールドワークを通して、人が集まる魅力的な場のつくりかたを学ぶ。その後カフェを通じて地域コミュニティを創造するカフェ・カンパニー株式会社に入社し、数か所の店舗運営を経験。その後、地元である福岡のD&DEPARTMENT FUKUOKAの立ち上げ及び運営を経て、2014年より株式会社リビタに入社。大人のシェアスペース「BUKATSUDO(公民連携ドックヤードガーデン活用事業)」の施設運営マネージャーとして施設利用者及び横浜MM地区の就業者・住民など多種多様な人々の交流、活性化促進業務を務める。趣味は餃子づくり。
株式会社リビタの取り組みやBUKATSUDOの紹介、そして川島さんが「居心地の良い場所」を作るために大切にしていることなどをお話いただきました。
※以下、川島さんのトーク内容をお伝えします。注釈がない限り、話し手はすべて川島さん。
BUKATSUDOの運営をしております、株式会社リビタの川島と申します。
BUKATSUDO(ぶかつどう)という横浜のみなとみらいのスペースのマネージャーとして日々施設の運営を担当しております。
コミュニティ女子になる前の川島さん
まず、私がいったいどういう経緯でBUKATSUDOで働くようになったのかという経緯を紹介したいなと思います。
これまでの経歴なんですが学生時代は、都市社会学という分野で、「人の居心地の良い場所はどのようにできているのか」というのを分析したり実践したりしていました。積極的に「居心地の良い場」を自ら作り、それを観察したり、その結果を考察したり、という感じです。
その後新卒で入った会社がカフェ・カンパニー株式会社。地域コミュニティを大切にしながらカフェの企画運営をしていくというような会社です。
この会社が運営するカフェの中にWIRED CAFEっていうのがありまして、そこで実際にホールやキッチンで毎日忙しく働いていた、というのが一番最初のキャリアです。
その後、地元の福岡に一旦帰り、福岡のD&Departmentがちょうどできる予定でスタッフを募集していたので、立ち上げから参画しました。
その後東京に戻り就職した会社が、株式会社リビタです。
いま振り返って思うことは、一貫して居心地の良い場の作り方というのに学生時代から興味があって実践してきたということです。
株式会社リビタについて
リビタという会社の説明を、知らない方もいると思うので説明させていただこうと思います。リビタは、リノベーションをやっている不動産の会社です。
※川島さんのスライドより抜粋
こちらは多摩平の団地ですね。ビフォアにある通り、建物のハード面でも老朽化していたところに手を加えてリノベーションをすると。
ただ、ハード面のリノベーションだけではなくて、そこに住む人たちの住まい方を提案したりだとか、入居者さんとのコミュニケーションはもちろん、自治会さんたちと一緒にお祭りを開催したりなども行っています。
そうやって、ハード面だけでなく、コミュニケーションを通してその場に新たな価値を付加していくことで、場所の価値を上げていく、結果として稼働率も上がり収益性の向上を目指すということをビジネスとしてやっている会社です。
私の所属している部署は、いわゆるシェアハウスの企画運営をしていまして、今は使われていない社員寮だったり社宅だったりっていうのをリノベーションしています。今現在リビタが手掛けた物件は、都内を中心に、首都圏でぜんぶで17棟あります。
シェアハウスの運営を通して、入居者間で趣味の集まりが生まれているのを目の当たりにしました。趣味だったり、好きなことを通して、いろんな人と繋がっていく「コミュニティ」のようなものは、今の世の中で求められていることなのでは?という意識から、シェアハウスの住宅以外の要素を抽出してみたというのがBUKATSUDOです。
BUKATSUDOについて
※川島さんのスライドより抜粋
BUKATSUDOは、旧造船ドックの跡地の中にあります。
昔は船を作っていた場所ですね。横浜らしい建物の一つであるこの造船ドックの跡地を活かして生まれたのが、「ドックヤードガーデン」という商業空間です。その中にBUKATSUDOはあります。
BUKATSUDOになる前は、カラオケ屋さんやゲームセンター、飲食店だったり、いろんなテナントが入っていました。
場所がわかりにくいということで、テナントがなかなか定着しづらかった場所ですが、あえて「その入りづらさを秘密基地みたいな場所として展開できないか」という思いで、この場所にBUKATSUDOを作りました。
コミュニティマネージャーになった経緯
BUKATSUDOができたのが、2014年6月。わたしがリビタに入社したのは2014年の5月、オープンのちょうど一か月前で、立ち上げの作業でバタバタとしたタイミングでした。
そこをお手伝いしながら運営メンバーに入ったというような感じです。
入社したばかりで、会社の新しいプロジェクト、かつ「シェアスペース」っていう今まであまり聞いたことの無かったようなところの運営をしてくださいと言われ、イメージが全然湧かなかったというのが本音でした。
いままで経験した仕事は、たとえば飲食店ならフードやドリンクを扱う、オーダーがはいればお食事を出す、といった感じで分かりやすかったんですけれども、場所を提供する、スペースを貸し出すという概念があまり広まっていないなかで、どうやってBUKATSUDOを広めていくかというのがまず最初の課題でした。
ですが、来てくださったお客様とのコミュニケーションを重ね、3年経って、やっといろんな方たちが集まって楽しんでくれる場所になったかな、というふうに思います。
1日約200人がBUKATSUDOを利用中
突然なんですが、最近、新しい友達できましたか?
ここに来る方は、コミュニケーションとかコミュニティとか興味のある方が多いと思うのでいろんな方たちとつながる機会って多いのかなと思います。
ですが、普段働いている中で、なかなか新しい人と出会う場所ってないんじゃないかなと思います。
BUKATSUDOは、まさにこういう新しい友達ができる場所になっているのかな、と思っていて、地縁とか血縁みたいなものではない、新しい人とのつながり方っていうのを提案している場所です。
実際に、近い世代の方たちが、同じ興味や趣味で集まって、共感で仲間とつながるような場所になっていると思います。
ドックヤードガーデンの中の人がなかなか入らなかった場所が、現在では1日に200人ぐらいのお客様が来てくれるような場所になりました。
※川島さんのスライドより抜粋
年に一度、「文化祭」というイベントも開催しています。
これは、BUKATSUDOを拠点にいろいろな活動している方の「活動発表の場」という立ち位置で開催されています。
私たち運営チームは、皆さまが自発的に活動するのを取りまとめるだけで、基本的には利用者の皆さんが主体となって活動してくれる、そんな場です。
アクティビティの連鎖をつくる場所
※川島さんのスライドより抜粋
施設としては、これが施設の図面なのですが、三角形でだいたい800平米あるスペースです。
ワークラウンジという60席のコワーキングスペースがあったり、会議ができるようなミーティングスペース、DJブースやキッチン、パーティーできるようなイベントスペースを備え、BUKATSUDO主催のいろんな講座やワークショップも行っています。
また、こだわりのコーヒースタンドもあり、ふらりとコーヒーを飲みに来てくれる人もいらっしゃいます。
コミュニケーションを通して居心地の良い場所をつくる仕事
いろんな目的を持ったいろんな方が来てくれる場所なので、キッチンの利用者だったりコーヒースタンドの利用者だったりワークラウンジの利用者だったり、様々な方がいらっしゃいます。
でも、目的としている場所を使って終わり、というのは寂しいなあと思っていて、その他の利用者さんと繋がったり、次は他の利用をしてもらったり、新たな情報に触れてもらったりなど、「BUKATSUDOをきっかけとしたアクティビティの連鎖をつくる」ということを目指しています。
行ってみたら最初は思ってもみなかったような、新たな出会いや情報を得ることができる、というような場所ですね。
なので、来てくれたお客様とはできるだけコミュニケーションをとって、この場所を自分の居場所だと思ってもらうようにしています。
BUKATSUDOはいわゆる“部活の拠点”というコンセプトなので、部活をするように自分の好きなことや興味のあることを楽しむ人たちが集まる場にしたいと思っています。
そんな思いを持った人が集まる場になることで、利用者間の共感の輪やつながりが生まれていく。そういう現象を作ることが私の仕事だと思っています。
BUKATSUDOでの活動例
実際にこの場所を使って行われているイベントを一部紹介させていただきます。
※川島さんのスライドより抜粋/photo by Yuji Tanno
一つは餃子部という部活です。みんなで餃子を作って食べるという活動です。
一緒に「餃子を作る」という目的があるので、無理に話さなくてもいいという安心感があったり、あとは横並びで一緒に作るので、目を合わせて話さなくてもいいというか。
初対面の人と話すストレスや緊張がちょっと減るということもあるからか、毎回たくさんの始めての参加者がいらっしゃいます。一人での参加者も多いです。
餃子ってみんなあんまり嫌いな人っていない、というのもいいかなと思っています。私は、3名共同部長がいる中の一人として活動をしています。
餃子づくりは最後の焼くところが見せ場になっている、という盛り上がるポイントもあり、人と人をつなげるイベントとしては最適なんじゃないかと思っています。
※川島さんのスライドより抜粋
ほかにもいろんな部活やイベントがありまして、レコード部とか、昭和文化研究部、リトウ部、ヨガ部とか、いろんな活動がこのBUKATSUDOを拠点に繰り広げられています。
これらの中には、講座を機につながった方たちが始めた部活があったりだとか、BUKATSUDOにくるお客様が「自分が好きだから」という理由で始めた活動などなど。
そうやって、自分の好きなことや人との出会いをきっかけにして、いろんなつながりが生まれていって、それがBUKATSUDOに根付いて、定期的に活動が行われているという状態です。
※川島さんのスライドより抜粋
お客様の中からも、BUKATSUDOに来てすごく新たな出会いがあった、居場所やよりどころになっている、という声を聞くようになってきていてとてもうれしいです。
運営のなかで意識している3つのこと
経験として「こんなことをすると皆さんのコミュニケーションが生まれるんだな」という、運営するうえで意識していることが3つあります。
それは、「主役になれる出番を作る」「関与できる隙をつくる」「自らが楽しむ」ということです。
「出番を作る」ということでいうと、毎週水曜日に「水曜酒場」というイベントを開催しています。各部活が持ち回りで毎週水曜日にイベントを開催しているというものです。各部長がいろいろと考えながらイベントを企画してくれています。
そんな枠組みを作ることで、定期的に活動する機会となっています。また、最近では出張イベントなども増えてきました。そうやって活動をしていく出番を定期的に作っています。
「関与できる隙をつくる」ということでいうと、運営側で完璧に準備をしないというか、付け入るスキを作るというか。そういうことは意識をしていて、たとえばBUKATSUDOのBGMはレコード部の方が選曲してくださっていて、自分たちが「得意分野じゃないからできないな」という場合はお願いしてしまっています。
自分たちで全部用意せずに、なにか関わってくれる「関わりしろ」作っておく、というのも、運営の中で気を付けていることです。
あとは、一番大事なのは「自ら楽しむこと」。「好き」という感情は、人に伝わる感情だと思うので、「できるだけ自分が楽しめる環境を自ら作っていく」「それによって共感していく人たちが徐々に増えていく」っていうという場を、これからも作っていきたいと思っています。
以上です。ありがとうございました。
※川島さんのトーク内容、ここまで
コミュニケーションを生み出すには、人と人を繋げていくには、どんなことを意識して場づくりに取り組んでいけばいいか。さまざまなヒントを貰えたお話でした。
川島さん、ありがとうございました!
(取材・撮影・レポート:佐野匠)
次回アーカイブ予告
次回は、ヤフー株式会社が運営するコワーキングスペース「LODGE」のコミュニケーター中川世梨乃さんのトーク内容をお伝えいたします。
Yahoo! JAPANポータルサイトの編集職から、コワーキングスペースのコミュニケーターに転身した中川さん。特技はナンパ!?
コミュニケーターとして、たくさんの「人がつながるきっかけ」を作り出し、中川さん自身も「人生を見つめなおすきっかけ」を得ることができたそうです。
詳しいお話は、次回のアーカイブでお伝えいたします。
次回のイベント開催予告
コミュニティ女子meeting! vol.2開催決定!
こういう方におすすめ
・コワーキングスペース・シェアスペースなどのコミュニティマネージャーに興味があるかた
・カフェ運営などでコミュニティ作りに興味があるかた
・地方、地域コミュニティ作りに興味があるかた
日時
3月13日(火)19:00〜21:30
場所
the C(東京都千代田区内神田)
登壇者
西山芽衣(HELLO GARDEN/西千葉工作室/株式会社マイキー)
青木優莉(特定非営利活動法人シブヤ大学)
小貫那子(コワーキング&カフェyuinowa/結いプロジェクト/株式会社TMO結城)
モデレーター
平賀めぐみ(BUKATSUDO/株式会社リビタ)
料金
1500円(ソフトドリンク付き)
連携協力
株式会社リビタ
株式会社WAT