コミュニティ女子meeting! vol.1イベントアーカイブ:中川世梨乃さん(3/4)
コミュニティ女子meeting! vol.1イベントアーカイブその③
2017年7月20日、シェア型複合施設「the C」にて「ミュニティ女子meeting! vol.1 〜コミュニティ作りのしごと〜」が行われました。
参加した皆様に「コミュニティをつくるというのはどんなことなのか」というイメージを持ってもらうことをゴールとして開催した今回のイベント。
前回のBUKATSUDOコミュニケーションマネージャー川島史さんに引き続き、LODGEコミュニケーターの中川世梨乃さんのトーク内容をお伝えいたします。
なるべく全部お伝えします
「 コミュニティ女子meeting! vol.1 イベントアーカイブ」では、全4回に分けて、登壇者のトーク内容をまとめていきます。
4人のコミュニティ女子のトーク内容を、なるべく全部お伝えします。中川さんだけでなく、ほかの方がどのような経緯や考え方でコミュニティづくりに取り組んでいるのか、ぜひ参考にしてみてください。
- その① :落合祥子さん(立川市子ども未来センター市民活動コーディネーター/株式会社studio-L)
- その②:川島史さん(BUKATSUDOコミュニケーションマネージャー/株式会社リビタ)
- その③: 中川世梨乃さん(LODGEコミュニケーター/ヤフー株式会社)※本記事
- その④: 庄司真帆さん(The Fleming House /株式会社WAT)
「仕事の中で、自分の人生を見つめなおせる」 LODGEコミュニケーター中川世梨乃さん
中川 世梨乃(なかがわ・せりの)
LODGEコミュニケーター/ヤフー株式会社
Yahoo! JAPANで、特集ディレクション、検索編集、トップページ編集などを経て、2016年9月グランドオープン直前のLODGEに配属。右も左も分からない状態から始まり、気が付いたら「コミュニケーター」を名乗ることに。
中川さんからは、Yahoo!Japanトップページ編集の仕事からコミュニケーターになった切っ掛け、そしてコミュニケーターとしてどのような役割を果たしているかをお話しいただきました。
※以下、中川さんのトーク内容をお伝えします。注釈がない限り、話し手はすべて中川さん。
※中川さんのスライドから抜粋
こんばんは。中川世梨乃と申します。紀尾井町のYahoo! JAPAN本社17階にある、LODGEというスペースで、コミュニケーターをしています。
えー、私の特徴としては、動物が本当に大好きで、このスライドに写っているのが愛犬のノアなんですけれども、本資料の中でもちょいちょいはさみながらご説明したいと思いますので、お楽しみ頂ければと思います。
かつてはYahoo! JAPANトップページの編集を担当していた
私がYahoo! JAPANで一番長く携わっていたのが編集職です。Yahoo! JAPANのトップページに出てくるさまざまなテキストリンクはすべて人の手で編集されていました。
たくさんのコンテンツパートナーさんが配信する記事の中から良質なものを人の目で選んで、時にはテーマを作ってパッケージングして、キャッチコピーをつけて掲載。そして、どれくらいの方がクリックしてくれたかというのをチェック。
そういった編集と更新作業を、毎日毎日、人力でやっていました。
今、時代的に「AIに仕事が奪われる」という話もありますけれども、私がやっていたような編集職も、ちょっと自動化の波がありまして、ニュースは今も人間の手で編集してるんですが、たとえば、私のような犬が好きな人に対しては、「この人犬が好きだから、トップページには犬の記事を多めに表示しよう」といったようなことが、機械的にできるようになったんですね。
それで、ちょっと編集職の役割が変わってきて、自身のこれからの仕事について考えていた時期がありました。
独自の組織活性活動に気付いた上司の目に留まる
そんな時に、私の活動がうちのLODGE責任者の植田の目に留まりました。
その私が所属していた「Yahoo! JAPANトップページ」っていうのが社内でもすごく大きなサービスで、その部署単体で100名規模です。
その中での細分化はされてはいるんですけど、しばしば組織を改変しているんですね。
そうすると、同じサービスを作っているメンバーなのに、ほとんど「はじめまして」っていうような方と、ある日から突然じゃあ今から半年間、「トップページのこの部分について一緒に磨きこんでいきましょう」ということがあります。
そして、大きく組織が変わった時に、組織活性みたいなことに対して、私が結構積極的に取り組んでいて。
例えば、同じ部署内で、シャッフルランチしてみよう、チーム分けをくじ引きでランチしてみよう、ということをしてみたり。
でも、知らない人同士でランチするときって、「どこに行きたいですか?何食べたいですか?」気を遣いあってしまうので、くじ引きに「焼肉」とか「イタリアン」とか店名を書いてみて、それを引いてもらうと、知らない人同士でも結構すんなりお店選んでくれるかな、という風に試してみたり。
そういう、本業とあんまり関係無いところに積極的にやっていました。
そういうのを目に留めてくれていて、縁があって異動した、という感じです。
コワーキングスペースについてよく分からないながらもLODGE運営に参加
LODGEって何?を、すごく簡単に言うとコワーキングスペースです。
※正確には「オープンコラボレーションスペース」ですが、イベントでは分かりやすく「コワーキングスペース」という言葉を使っています。
私が配属された時、「コワーキングスペースってなんだ?」というレベルの知識で、実際、Yahoo!検索で調べました(笑)
で、ざっくり言うと、「独立して働く人同士が、高めあったり、助け合ったりとかしながらひとつのペースで一緒に働くこと」というのをコワーク、コワーキングと言いまして、そのためのスペースを「コワーキングスペース」と呼んでいます。
※中川さんのスライドから抜粋
なので、LODGEはヤフーの社内にあるんですけれども、まったくヤフーとは関係ない方々が大勢お仕事をしにいらっしゃる場所です。
上司の植田に色々話は聞いたものの、最初はコワーキングスペースについて、まったくイメージできなくて、正直不安だなと思ってました。
ただ、植田が「向いてる」と思うと。その言葉を信じて、異動してみました。
※中川さんのスライドから抜粋
それが、16年の9月の末頃のことですね。
この頃まだオープン前なので、スペース内の大きなインテリアは揃っていたものの、こまごました備品がなく、ほんとに終電までひたすらネットショッピングするとか、そういう日々を送っていて、結構大変でした。
11月1日にいよいよLODGEがグランドオープンしまして、現在1日に数百名の方が行き交うスペースになっています。
運営メンバーは専任は3人しかいないんですけれども、あとは色んな部署で兼務しているメンバーや業務委託さんが7、8名います。
コミュニケーターとしての普段の仕事
それではこれから普段私がコミュニケーターとして何をしているのかをご紹介します。
まず、声かけ。
結構たくさん声をかけていて、特技ナンパと言っています(笑)
休みの日にカフェに行っても、隣の人の話が気になったら話かけちゃおうかな、と思うくらい。もうなんか、声をかけることに躊躇がない、それぐらい声はかけまくってます。
LODGEにいらっしゃったことがある方であればお分かりいただけると思いますが、非常に広いスペースです。
初めのころは、端から端までがんばって声をかけていて、数時間から半日ぐらいかかって、翌朝声がかれていたこともあります。
あと、ランチ会。
結構ユーザーさんとランチ会しています。スライドにも何枚も出てくる、みんなでテーブル囲んでる写真は、ランチ会の様子です。
ランチ会をするときには、社内外の人を混ぜることを心がけています。テーマを設けてみたり、常連さんを集めてみたり、遠方からいらした方がいらっしゃる時などは、ぱっと人を集めてランチ会を開催するようにしています。
それから、相席を促進してコミュニケーションを促したいなと思っていて。
LODGEは無料でどなたでも利用できるので、利用したいと思っている方は本当に多いです。物理的に席が足りないということもあり、相席の促進を意識しています。
それから、新年会などの飲み会。LODGE主催ではあまり積極的にできていないんですけれども、なにかの節目のタイミングで開催していたりします。タコパはまだ一回しかしていませんが、楽しかったので入れちゃいました(笑)
イベントはほとんど毎日やっています。社内外から申請を頂いて、LODGEのコンセプトに合うイベントであれば開催してもらっています。
コミュニケーターとして様々な「人のつながり」に立ち会う
その他、LODGEのスペース運営としてはほんとにやる事がいっぱいありますが、エピソードがあった方がわかりやすいかな、と思ってまとめてきました。
スライド左側の写真は、LODGEがオープンしたてのころに、最初に仲良くなった方です。
この方は、今は岐阜で家業を継いでらっしゃるんですが、結婚の報告をしてくれたり、奥さんを連れてきてくれたりという感じで交流がありました。
右側の写真は、一時期施策として設けていた「相席テーブル」にふらっと行って話しかけた方が偶然元ヤフーの社員で、今は青年海外協力隊として「小学生に算数を教えている先生に、算数の教え方を教えている」方でした。お会いした日はヤフー社員と一緒に同期会のようなものをされていました。
こういったエピソードを、LODGEの公式Facebookで紹介したりもしています。
「社内外で人をつなぐ」に関して、この写真は、マニアックなプログラミングの言語について分かる方たちと話してみたい、というユーザーさんがいたので、「ちょっとお茶しながら話してみませんか?」と告知して人を集めたときのものです。
ほかには、ヤフーと親和性が高そうなユーザーさんと出会った際、「こういうスタートアップの方が来ています、興味がある人がいたら紹介しますよ」と社員に投げかけてつないだり。
ヤフーの社内研修で行っているマインドフルネスの指導を、社外の方にも簡単に講習してみようということで、ランチ会も兼ねてマインドフルランチをしてみたり。
偶然「僕、来年ヤフーに入社するんです」という人と出会って話を聞いてみると、「Yahoo! JAPAN研究所が出しているレポートを参考に実装実験をしてみた」と言うんですね。
すごくがんばっていて応援したいな思ったので、レポートを書いた社員を探して、「話してみてもらえないか」とメールを送って、会う場をセッティングしたこともあります。
人間性が試され、知識と教養が必要となる
「コミュニケーターの苦労」についてもお話ししていただきたいというリクエストをいただきましたので、お話します。
まず一つ目、人間性が試される、ということ。
本当に色んな方とのやりとりがありますし、すごく返答に困る相談を受けることもありますので、自分の人間性が試されてる、と感じることがあります。
日々修行で、私自身、全然完璧にはできてないんですけれども、色々学ぶことがあるなと思ってます。
二つ目は、知識と教養が必要とされるところですね。
色々なお仕事されてる方がいるので、コミュニケーションをとっていく中で知識や教養が必要とされるな、と日々感じています。専門的なお話だと、お話を聞いても、まだ理解しきれないことがあります。
三つ目は、成果を可視化する、というところです。
コミュニケーションについては成果の可視化が難しいです。
LODGEの利用者からも刺激を受ける
楽しみは、本当にすばらしい人々との出会いに尽きるのかなと思っています。これだけ色々な方とお話する機会がある職場は、あまり無いと思います。
起業している方が多いんですが、そういう志をもって、社会課題を解決しようと前向きに働いてらっしゃる方を目の当たりにすると、弱音をはいている自分が恥ずかしくなったりします。
※中川さんのスライドから抜粋
この仕事の中で、自分の人生を見つめなおせる、と思っていて、大げさに言ってるわけではないです。結構、私は本気で思っていて。
このスライドの犬が、ノアじゃないってことに気づいてくれた方がいたら嬉しいんですけど(笑)
私は本当に犬が好きなので、人と犬の共生のために自分にもなにかできないかなと考えるようになり、保護犬を預かってみました。この写真は保護犬のクウちゃんです。
そういうふうに、ちょっと自分の人生を見直して、色んな新しいアクション起こしてみようと思ったのも、LODGEで働いていたおかげかな、と思います。
一言で言うと、コミュニケーターは楽しいです。
ご静聴ありがとうございました。
※中川さんのトーク内容、ここまで。
一つの場所に様々な人が集まることで、利用者だけでなく、その場所を預かるコミュニケーター自身も刺激を受けて成長することができる。
たくさんの人出会う「コミュニケーションの仕事」ならではの魅力についてお話を伺うことができました。
中川さん、ありがとうございました!
(取材・撮影・レポート:佐野匠)
次回アーカイブ予告
次回は、The Fleming House /株式会社WATの庄司真帆(しょうじ・まほ)さんのトーク内容をお伝えいたします。
「カフェという場所でコミュニティを生む」ということをミッションとしている株式会社WAT。会社がどのような場所を運営し、どんなコミュニティづくりをしているのかをご紹介します。
次回のイベント開催予告
コミュニティ女子meeting! vol.2開催決定!
こういう方におすすめ
・コワーキングスペース・シェアスペースなどのコミュニティマネージャーに興味があるかた
・カフェ運営などでコミュニティ作りに興味があるかた
・地方、地域コミュニティ作りに興味があるかた
日時
3月13日(火)19:00〜21:30
場所
the C(東京都千代田区内神田)
登壇者
西山芽衣(HELLO GARDEN/西千葉工作室/株式会社マイキー)
青木優莉(特定非営利活動法人シブヤ大学)
小貫那子(コワーキング&カフェyuinowa/結いプロジェクト/株式会社TMO結城)
モデレーター
平賀めぐみ(BUKATSUDO/株式会社リビタ)
料金
1500円(ソフトドリンク付き)
連携協力
株式会社リビタ
株式会社WAT