コミュニティ女子meeting! vol.1イベントアーカイブ:庄司 真帆さん(4/4)
コミュニティ女子meeting! vol.1イベントアーカイブその④
2017年7月20日、シェア型複合施設「the C」にて「ミュニティ女子meeting! vol.1 〜コミュニティ作りのしごと〜」が行われました。
参加した皆様に「コミュニティをつくること」のイメージを持ってもらうことをゴールとして開催した今回のイベント。
前回のLODGEコミュニケーターの中川世梨乃さんのトークに引き続き、株式会社WATの庄司真帆さんのトークをお伝えいたします。
なるべく全部お伝えします
「 コミュニティ女子meeting! vol.1 イベントアーカイブ」では、全4回に分けて、登壇者のトーク内容をまとめていきます。
4人のコミュニティ女子のトーク内容を、なるべく全部お伝えします。庄司さんだけでなく、ほかの方がどのような経緯や考え方でコミュニティづくりに取り組んでいるのか、ぜひ参考にしてみてください。
- その①:落合祥子さん(立川市子ども未来センター市民活動コーディネーター/株式会社studio-L)
- その②:川島史さん(BUKATSUDOコミュニケーションマネージャー/株式会社リビタ)
- その③:中川世梨乃さん(LODGEコミュニケーター/ヤフー株式会社)
- その④:庄司真帆さん(The Fleming House /株式会社WAT)※本記事
「コミュニティづくりは、共感からうまれる居心地のいい場所をつくること」株式会社WATプロジェクトマネージャー庄司真帆さん
庄司 真帆(しょうじ まほ)
プロジェクトマネージャー/株式会社WAT
1989年1月、神奈川県藤沢市生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、新卒でベネッセコーポレーションに入社。編集者として進研ゼミ小学講座の教材を制作。企業とのアライアンスや、新規事業である子ども向け電子書籍プラットフォームの立ち上げにも関わる。
その後、飲食店や空間をプロデュースする株式会社WATに転職。数々の新店舗の立ち上げ、運営に関わる。おいしい食べ物といい空間、コミュニティを編集中。
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※以下、庄司さんのトーク内容をお伝えします。注釈がない限り、話し手はすべて庄司さん。
株式会社WATの庄司真帆と申します。よろしくお願いします。
いまは神奈川県の逗子に住んでいて、都内に勤めております。
好きなものは、ビールとコーヒーと離島と飛行機。もし趣味の合う方がいたら、この後懇親会でお話ができたらなと思います。
ポジティブな力を人に与える、という意識
まず、簡単に私の経歴ですね。これまで、大学の教育学部というところを卒業した後に、株式会社ベネッセコーポレーションに入社しました。そのあと転職して、いま株式会社WATにいます。
いろいろ点々としてるね、と言われることもあるのですが、改めて振り返ってみると、自分は一貫して教育や人、「どういうときに心地よいと、楽しいと思うのか」「嫌だなと思うのか」といったところに興味があるのかなと思っています。
ベネッセ時代は、人を育てるとか応援するとか、「ポジティブなエネルギーを人に与える」ということを考えながら編集をしてきました。
編集者として教材やその付録を作ったり、子供たちのお祭りに参加したり、作文コンクールの表彰式で表彰の瞬間に立ち会ったり、ということもしてきました。私が担当していたのは、小学校低学年だったので、たくさんの子供たちの成長や可能性を発見することができました。
コミュニティの現場との出会い
※庄司さんのスライドより抜粋
そういった仕事を楽しんでいる一方で、一貫して人に興味あるのに、「企業→クライアント→ユーザー」みたいな感じで、「人までの距離が遠いな」と思っていました。
そんな時に、「日本仕事百貨」という求人サイトをなんとなく見ていた時に、「街つくるカフェ」という、なんとも魅力的なタイトルの募集記事に出会いました。
記事の中で、コミュニティということばを、私がいまいる株式会社WATが語っていました。
当時の私はコミュニティというものに対して、漠然とした理解しかなかったのですが、「人に関わりたいな」「食べること大好きだし、コーヒー大好きだし、食の現場にかかわりたいな」「近くで色々なものが動いているのを見られるんだろうな」という思いで、WATの門をたたいて今に至ります。
「カフェを通じて地域にコミュニティをつくる会社」株式会社WATについて
※庄司さんのスライドより抜粋
株式会社WATは、食を通じて、街にポジティブなエネルギーを生み出したいという思いを抱きながら、カフェをはじめ様々な飲食の場を運営したりプロデュースしたりしている会社です。
その中での私の役割は、プロジェクトマネージャーです。「コミュニティ」とは違う肩書なのですが、やっていることは本当に多岐にわたっています。
新店舗の開発、運営店舗のサポート、イベントの企画、お客様への対応、ビラやWEBの制作、採用など。非常に幅広い業務を担当させていただいています。
※庄司さんのスライドより抜粋
WATでは、「食を通じて街にコミュニティを生む」ということをミッションに、みんなで仕事をしています。
街の中の一か所だけがピンポイント盛り上がってもダメなのかな。街に有機的な盛り上がりと、持続可能なコミュニティを作ることを意識しています。
短期間でお祭りやって終わった、というものではなくて、街の賑わいを、5年、10年、もしかしたら100年つづく賑わいをどうやったら作れるか、ということを、考えながら仕事をしています。
CAFE&HALLours
※庄司さんのスライドより抜粋
具体的な場所を紹介すると、まずは品川区の大崎駅にある「CAFE&HALL ours」っていう空間です。
大崎駅って、私はこの仕事をするまでほとんど降りたことがありませんでした。なんかオフィス街、工場地帯、みたいなイメージだったんですけども、現在ではそこが街の再開され、高層ビルや高層マンションが並んだ、区画されたきれいな街になっています。
oursは、その街にいる人たち・・・・・・もとから住んでいる人、新しく引っ越してきた人、オフィスの人など、いろんな人たちの有機的なつながりや集まりの場、という役割を意識した場所です。
CAFE POE
※庄司さんのスライドより抜粋
こちらは、茅ヶ崎にある「CAFE POE」というカフェ。ふつうカフェは、アクセスがいいところとか、人の集まるとことかに出店するというのが普通のだと思います。
ですがここは、最寄りの茅ヶ崎駅から20~25分ぐらい離れたような、浜見平団地というところにあります。
団地の幼稚園や図書館のとなりにこのカフェがあって、日常的に高校生やおじいちゃんおばあちゃんにも使っていただけるような空間を提供しています。
PEOPLEWISE CAFE
※庄司さんのスライドより抜粋
こちらは、2017年5月にオープンした「PEOPLEWISE CAFE」というカフェです。たまプラーザ駅から5分ぐらいの場所にあります。公園のすぐ隣で、家族でにぎわうエリアにありますね。
このカフェは、行政とディベロッパーの「郊外であるたまプラーザの街を、もっと魅力的な街にしていきたい」という思いから成るプロジェクトの中で誕生した場所です。
※庄司さんのスライドより抜粋
実際、カフェって「食べる」「飲む」っていう行為がことが日常的に行われている場所ではあるので、人はもともと集まりやすいんですね。
そこを、より盛り上げていく、より人の集まりをつくる、ということをするために、街のプレイヤーに一緒になってもらって盛り上げる企画をするなどして、地域の方の緩やかなつながりを形成しているところです。
※庄司さんのスライドより抜粋
いま上げた3つは、WATと行政が協力して進めてきた事業です。「街づくりをする」「街に対して大きな課題意識がある」という背景からところから生まれた場所、というのが今の例になります。
「建物は作ったけど、じゃあ中どうしよう」というときに、私たちがお声かけをいただいて、その中にコミュニティを形成してく、という仕事をしています。
で、生々しい話なんですけども、「コミュニティ」ってすごく聞こえがいいと思うんですけども、やっぱり場所を運営している以上お金がかかります。
スタッフが必要、人件費がかかる、食べ物を出すときには食材費がかかる、っていうところを、どういったスキームで行っているか、というところのご説明になります。
従来の普通の飲食店さんは、カフェを運営する中で、全体の売り上げのから様々な費用を引いて10%のこれば御の字という経営が多いと思います。このバランスが難しくて、いろいろな飲食店さんが苦労されているのではと思います。
私たちは、クライアントさんに対して、カフェだけでなく「コミュニティもきちんと作りますよ」ということをお約束させていただいています。
「コミュニティを作る」って言葉でいうのは簡単ですが、実際にはそうではないということは、ここにいる皆さんもよくご理解されていると思います。
場所とコミュニティを作るには、地道な活動が必要だし、人の力やお金もかかるし、っていうところをちゃんとご理解いただけるというパートナーさんと我々はお仕事させていただくようにしています。
WATのモデルといったら偉そうなんですけども、そういった形で、コミュニティづくりのコストの一部を、街の財源から充てさせていただくというふうにすることで、私たちも有機的な活動を進められるようになっています。また、それによって持続的な活動ができているのではと思います。
ほかにもたくさんご紹介したいカフェはあります。
※庄司さんのスライドより抜粋
西東京市のひばりが丘団地の中にある「COMMA,COFFEE(コンマコーヒー)」。
※庄司さんのスライドより抜粋
京王電鉄さんの「下北沢の高架下を有効活用したい」という思いから生まれた「下北沢ケージ」。「下北沢ケージ」内のお店「LONG VA QUAN(ロンヴァクアン)」。
※庄司さんのスライドより抜粋
"コーヒーをする人"という意味の「Coffee Wrights」。ひとつは下町の蔵前に、もうひとつは三軒茶屋の住宅街にあります。八百屋さんで野菜を選ぶように、気軽に日常のなかでコーヒーを楽しんでもらいたい、という思いでできたロースターとカフェです。
※庄司さんのスライドより抜粋
こちらは「サンドイッチとコーヒー ampere」という、渋谷にあるお店。こちらは、老朽化したビルを1棟まるごとリノベーションしてオフィスにするというタイミングで、「ビルの玄関口として、街のワーカーにポジティブな飲食を」というところでお声かけいただき、オープンしたサンドイッチのおいしいお店です。
The Fleming House
※庄司さんのスライドより抜粋
そして、今日特にお話ししたかったのが、「The Fleming House」という場所。もともと材木屋さんの倉庫だった建物をリノベーションして作ったレンタルスペースです。
WATではいま10店舗運営しているのですが、その中で唯一飲食店ではなくて、スペースとして運営をしています。ここが、半ば専任で担当している空間です。
WATの運営の中では、「食」というのが一つキーワードになっています。なので、食とのコラボレーションから成る音楽やパーティー、ライブ、展示会など、いろいろなことがこの場所で行われています。
※庄司さんのスライドより抜粋
こんな感じで天井もすごい高くて、真っ白な空間なので、いろいろなアレンジがしやすくなっています。
これはマーケットをした時の写真ですね。こんな感じでに食に関わる方がたくさん出店して、様々な商品を紹介する素敵なイベントでした。
※庄司さんのスライドより抜粋
あとは、平日は会社員してるけど実はお菓子作りが好きだ、という方による一日限定のポップアップカフェが開かれることもありました。
食に関わる前向きなことに使ってもらいたいな、という思いで運営をしている場所です。
使い勝手のいい空間なので、もちろんいろいろな方にお声かけてさせていただいて、一緒にイベントをしたり、教室を開催したりするときのお手伝いをさせていただいています。
「ただのレンタルスペースだったらWATが運営する意味がない」と思っているので、基本は「食」を中心にもっと盛り上げていけるような、魅力を伝えていけるようなそんな運営をしていきたいですね。
「The Fleming House」も、最初は「無料で貸しますからいいから使ってください」と言いながらイベント開催を募っていました。その甲斐あって、最近はやっと「先日使ったけどよかった」「私もこんなことやってみたい」という声が増えてきました。
自主的に行っているコミュニティ活動
WATとは別の活動も少しご紹介させていただきます。
BUKATSUDO リトウ部
※庄司さんのスライドより抜粋
コミュニティというキーワードで一つ外せないのが、先ほど登壇した川島さん率いるBUKATSUDOを拠点としている、「リトウ部」という活動です。私が副部長でさせていただいています。
もともと、島好きがあつまって「〇〇島いいよね」っていう感じで飲みながら話すことはあったんですけども、「そういう人たちってどれぐらいいいるんだろう?」「島好きが集まったら何が起こるんだろう?」ということを考えながら立ち上げたのがリトウ部です。
※庄司さんのスライドより抜粋
色々な活動を続けて、たくさんの島好きが集まってくださって、いろんなトークのイベントができたりとか、グループワークができたりとか、離島にまつわる様々な楽しいことができるような場となっています。
アンドサタデー coffee
※庄司さんのスライドより抜粋
あと、個人的な活動として「アンドサタデーcoffee」という週に一度、土曜日だけのカフェを運営しています。2017年7月から始めた夫婦でのプロジェクトです。
私がいまいる逗子には、2017年3月に引っ越したばかりなんですが、実家でもないし、もともと住んでた場所でもない。知り合いも何にもないという場所にいきなり来た、という感じなんです。
※庄司さんのスライドより抜粋
ここで、「逗子をもっと愛着の持てる場所にしたい」「どんな人が住んでるんだろう?」という思いがありました。
なので、まずは自分たちが間口を開けることで、街の人に集まってきてもらえるような場所を作れればなと思い、週に一回だけ、コーヒーを淹れて地域のかたと会話を楽しむお店を開くことに、しました。
空間を作るのはもちろん、「コミュニティってどうやって作られるんだっけ」というのを確認しながら運営しております。
コミュニティづくりは「共感からうまれる居心地のいい場所づくり」
※庄司さんのスライドより抜粋
カフェを運営しながら「イベントよくやってるよね」とか「どんなこと企画してるの?」ということをよく聞かれます。
そこで思ったのが、コミュニティづくりっていうのはイベントづくりではなくて、「共感からうまれる居心地のいい場所づくり」だと思いますし、人や物が有機的につながる場所がコミュニティだと思います。
イベントやその打ち上げみたいなものは、あくまでコミュニティを作るきっかけでしかないなと思っております。
で、コミュニティに関わる中で私が心がけていることは、ベネッセ時代から思っているのですが、自分の家族や親友といった大切な人たちに、胸を張れるような、心からおすすめできるような、そんな仕事をしていきたいな、と常に心がけています。
※庄司さんのスライドより抜粋
最後、こちらの写真はWATのスタッフたちです。いきいきして現場で活躍しているスタッフがいるからこそWATがあります。ほんとに、みんな職人のあつまりだなと思っていて、本当に尊敬するメンバーたちです。
色々な空間でさまざまなイベントや企画が行われているのも、WATが「食」と「コミュニティ」というものを常に組み合わせて考えていくことができるからかな、と思っています。
いま、いろいろ試行錯誤をしながらも、さらに色々なことに取り組んでいる最中です。
長くなりましたが、以上です。
ありがとうございました。
※庄司さんのトーク内容ここまで。
***
WATとしての業務だけでなく、リトウ部、アンドサタデーcoffeeなど自主的な活動の中でも「共感からうまれる居心地のいい場所づくり」を実践している庄司さん。たくさんの実例を交えたお話、ありがとうございました!
(取材・撮影・レポート:佐野匠)
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これまで、「コミュニティ」の現場に関わる4人のお話をまとめてきました。
みんなそれぞれが異なる背景を持ちながらも、楽しくいきいきと働いています!
「コミュニティづくりの仕事をしたい」「コミュニティについて興味がある」という方はもちろん、「今現在、コワーキングスペースなどの人が集まる場所に関わっている」という方も、もう一度4人のお話を振り返ってみてはいかがでしょうか?
その①:落合祥子さん(立川市子ども未来センター市民活動コーディネーター/株式会社studio-L)
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その②:川島史さん(BUKATSUDOコミュニケーションマネージャー/株式会社リビタ)
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その③:中川世梨乃さん(LODGEコミュニケーター/ヤフー株式会社)
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その④:庄司真帆さん(The Fleming House /株式会社WAT)※本記事